vの全国的な協議会は、雑誌『文学サークル』を発刊し、職場の新人を養成している。必要な場合には新日本文学会の指導を受けている。
民主主義文学運動と並行してあらわれた反封建の精神にたつ文学は、若干の原因から非常に混乱している。まず第一に、日本の封建的精神と習慣の中心をなす形式的な道徳律に対する反抗が、この傾向の作家たちを一貫している。同時に、戦争中人間の肉体的存在が極端に軽視された反動として、人間の実在感を肉体においてだけ確認しようとする傾向がつよくあらわれている。この肉体の実在を主張する傾向は、封建思想が人間の精神と肉体とを対立させて、肉体をより価値ないものとし、肉体の欲望を満すことは下劣なことであるかのように扱ってきた習俗への反抗ともなっている。これらの作家は、以上のような理論を彼等の文学作品のうしろだてとしているけれども、作品の現実では、さまざまのニュアンスにあるエロティシズムと露悪趣味とフィクションに終っている。このグループに属する作家たちの多くは、前線に送られた経験をもっており、日本の封建的道徳の憎むべき偽瞞を目撃してきている。日本の無条件降伏は、彼等が内心軽蔑しながら服従を強
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