閧ウれた。しかし書籍出版の部面では粗悪な仙花紙の使用がますます多くなっている。仙花紙は統制外品である。
日本の出版業は一つの特徴をもっている。それは、極めて小資本の出版社が群立していることである。この現象は日本の資本主義経済の弱体を反映している。出版は自身の設備を所有しないでよいこと、使用人を多く必要としないことなどによって、軍需産業で小資本家となった連中が出版事業に流れこんだ。彼等は文化的責任を知らない。民衆の文化水準の低さと文筆家のインフレーションによる生活苦との間に、ブローカー的に存在して彼等の利潤を追っている。日本の小銀行の多かったこと、小新聞の多いこと、小売商の多すぎることなどと共通の現象である。
3 雑誌
用紙の最悪な事情にかかわらず一九四六年以来雑誌の企画申請は増大する一方であり、一九四七年末には三、〇〇〇種となっている。実際に割当をうけるものは一、八〇〇種に抑えられている。これに対して三百万ポンドが配給されている。しかし売れ行の多い雑誌社では仙花紙を使って発行部数の不足を補っている。
定価 印刷費、用紙の値上げその他物価の高騰につれて雑誌の定価
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