_統制であるとして注意を促した。
 放送討論会は第一回総選挙を機会として開始された。五大政党の政策についての討論から始められ次第にテーマを拡大した。婦人代議士はじめ各界の婦人も登場した。これも昨今は、はじめの素朴さを失った。特に供出に関する討論会などは、自然で単純な大衆的ディスカッションではなかった。地方で行われた供出に関する討論会は、政府の強制供出方針の宣伝的討論であった。最近行われた日本の新しい祭日を決める討論会においては、衆議院議員馬場秀雄、民主的な立場をもつ歴史家羽仁五郎と、シントーイストであって出雲大社東京分祠長千家尊宜等が登壇し、大衆の中に少くない数の学生が見られた。この学生たちは、千家尊宜が軍国的建国記念日としての伝統をもっている日本の紀元節を国祭日として主張するとき拍手を送った。彼等は羽仁五郎が日本紀元は歴史上の正確さを欠いているという議論をしたとき、やかましくヤジをとばした。この討論会においてアナウンサーが自分の感情と見解から思いついた質問を羽仁五郎に向って与え、アナウンサーとしての義務の範囲を超えた態度を示したことも注目された。
 娯楽放送は、一方において急速にアメ
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