竡メのために不利な差別的扱いをした例がある。こういうような場合、日本の保守的な官僚は必ずその責任をその土地の軍政部の責任に転嫁する。この日本官僚の悪習は、いたるところにあらゆる形でみられる。電力飢饉に関連して、いわゆる「進駐軍の命令」が悪用された例をみてもわかる。
 プログラムの新企画として、「先週の国会から」、「放送討論会」、「街頭録音」、「ラジオ探訪」などが行われている。
 街頭録音は一般人に自分の思っていることを発表する習慣をつけるために、民主的な発言の習慣をつけるために役立ちつつある。マイクが近寄ると逃げていた人々が自分からマイクに向って話すことをのぞむ率が増えた。年寄と若い婦人がより多く発言するようになったことは注目されている。しかし街頭録音はアナウンサーの指導や暗示や整理によって発言の総和が特定の方向にまとめられる弊害が顕著である。放送委員会はこの点に注目して世論委員会を設け、輿論がつくられる[#「つくられる」に傍点]ことを防ぐ責任を明らかにした。街頭録音の場合アナウンサーが自分の見解によって発言者の言葉を中断したり、カットしたり、モンタージュしたりすることは事実上一種の言
前へ 次へ
全166ページ中36ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング