ミ会小説」を、ある時は興味をもって読みつつ、その自然主義的な「客観」に批判を抱いている。
詩 日本の現代詩は、主としてフランスの象徴派の影響のもとに出発している。アメリカのホイットマンの影響も民主的詩人の間には生かされている。
戦争中詩人たちの多くは、ミューズと一緒に活動するよりもマースと一しょに活動した。女詩人で熱心にファシズムを讚美した人もある。高村光太郎その他、その才能を人々に愛されていた詩人たちが、戦争に協力し絶対主義を謳歌したことは、悲しいみものであった。フランスのシンボリズムの上薬ははげた。そして日本の暗い封建の生地をあらわした。
この痛手から詩人が自分をだまさないで回復することはむずかしい。詩人たちには、時間の余裕が与えられる必要がある。
戦争に協力するにはあまり若すぎた詩人たちが、いま活動を開始している。彼等の間に二つの傾向がある。一方は、フランスのシュール・リアリズムを踏襲している。これらの詩はテーマが観念的であるばかりでなく、日本の詩には字づらで一種の絵画的効果をあらわす漢字が利用されるために、この流派の詩人の作品は一層難解にされている。彼らが模倣からぬけだ
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