るしかない事情になっている。私たちは、歴史の上に何か価値あることのために、そのような正常でない条件で日常を営まざるを得ないのだと知らされている。配給し合って互に暮すという方法に馴れることは私たちの一つの力ともなるであろう。けれども、配給とりも直さず万事あてがい扶持で、唯々諾々と生きる無気力の習性となるなら、それは堕落と云われなければならない。私たちは自分たちの世代において文化を堕落させたという責を、愛する後代から指摘されることは欲していないのである。[#地付き]〔一九四一年五月〕



底本:「宮本百合子全集 第十四巻」新日本出版社
   1979(昭和54)年7月20日初版発行
   1986(昭和61)年3月20日第5刷発行
底本の親本:「宮本百合子全集 第九巻」河出書房
   1952(昭和27)年8月発行
初出:「生活の思索」教材社
   1941(昭和16)年5月発行
入力:柴田卓治
校正:米田進
2003年5月26日作成
青空文庫作成ファイル:
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