い休みに来る。細君の従弟、親は疎開、一人でよそにいたらそこが強制疎開、こちらへお願い出来ましょうか。こういう組立です。だからあっちこっちから寄って来ると、八九人にもなり、さもないとG夫妻と三人となり。極めて、波のさしひきがきつく、従ってわたしは安心して、すこし風よけをいたせます。十日の払暁以来、前々便にかいた有様で、わたしとして開放的であることと、のさばることとは別であるという線をはっきり出すに、幾人いようとも数をたのむべからざることをいつとなしにしみ込ませるまでにはやはり半月はかかりました。それに裏にいた近藤さんが、妻子も自分も疎開することにきめたので裏の家もやがて空きますし。「女の、体のよわい宮本さんが、ちゃんとがんばって居られるのにどうも」という話です。「そんなことはあるものですか、わたしはここにいた方がいいからいる丈で、危険はよく分っているんですもの、どうぞ一日も早く疎開して下さい、わたしもその方がどんなにか安心よ」というのは、ね。近藤氏夫人かつて曰く「ええええ、この辺の人なんかサーッサと逃げて行きますよ、そんな人達ですよ、見ていてごらんなさい」そしてわたしたった一人の時、よく
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