けさは出かけようとして御飯を終ったとたんボーとなってしまいました、森長さんの返事をお待ち兼ねと思いウナで電報出しました、早く御手許に届くでしょうと思って。
 きょうは又曇りました、そして少し寒いこと。警報がこうして出っぱなしだと、用足しも遠方には行けないから、午後からもし平安だったら、すこし珍しいひるねということをしようと大いにたのしみです。
 七八人もの茨城屋の足音のきつい人々が、夜おそく朝早くとどろとどろとふみ歩いて、もちを焼く匂いを二階までよこして出つ入りつしていると、やはり疲れます、それに、二十五日、四日、十日、とつづけてでしたし、ね、きょうの工合はどうでしょうと思って居ります。きのうは、大洗濯いたしました。焼け出されの躾みとして、ね、洗った襦袢をもっていなくては余りですものね、いろいろ見ているとたしかに、非常の躾というものはあるのよ、女の人なんかは。着たきり雀になる以上、それは堅牢な着るもの、はくものでなくてはいけません。今、来ている瀧川さんという娘が、上っぱりを一枚縫っていてくれます。もんぺも一つこしらえました、それがとりに行きたいのにきょう、これでしょう? 成城という
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