は一種の人物でしょうと思いますが、年代がずっている故か、環境がずっている故か(慶大関係)すっかり歴史の中にしかきこえない名のようです。三浦周行の『法制史研究』は面白そうなのに下だけしか買えませんでした。風邪をおひきにならないようにね。
〔欄外に〕○郡山の市は本やがありません。

 九月四日 〔網走刑務所の顕治宛 福島県郡山市開成山より(封書 書留)〕

 九月四日(一九四五年)
 只今お母さんから速達が来ました。達治さんの安否について心配して居りましたところ、やはり最も悲しいことになったようです。形は行方不明ですが、生存は万※[#濁点付き小書き片仮名カ、652−15]一にも期しがたい前後の事情です。お手紙の要点を申上げます。
 七月十七日召集をうけ広島に入隊。八月二日に休暇が出て、四日に又戻り、「六日の朝八時原子爆弾にあいました。当地も日々空襲で汽車不通」十二日に友人が広島へゆき調べてくれましたが、原隊では本人当日軽傷なるも行方不明とのこと。いろいろ調べたが不明。四五日したら患者を集合させるからとのことで又十七日の調べで生死不明、行方不明ということになったままです。
 ところが十六日に
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