地となり、その場所はどこだか、其によっては出入りがずっと面倒くさくなりましょう。双方で馴れる迄ひどく慎重らしいから、一定の地域の通交[#「交」に「ママ」の注記]人の身体ケンサしているらしい風です(ラジオでの話)(横浜など)わたしはどうしても忙しくなり、動きも多くなりましょうから、そういう場合は不便でしょうと思います。東京なら広うございますけれどもね。
 七月には三日に手紙かいて下さいました。きょうは三日ね。やはりそちらもこんな秋晴れでしょうか。そして手紙書いて下さったのかしら? こちらもこの一週間ほどは夜冷えてすこし厚いかけものを出しました。今、もって行く薄どてらを縫って貰って居ります、夕方なんか羽織がいるのではないでしょうか。海はどんな色でしょう。二、八月というから九月の海は荒いのでしょうね、濤の音が聴えるでしょうか。風の音が二百十日後は変りました、乾いた音がきこえはじめました。
 竹越三叉の『二千五百年史』の四十二年版が焼けのこりの古本やにあってもって来ました。箕作元八が西洋史を扱ったのに似た方法ですね。文章が文語ですが弾力にとんでいて、やはり箕作の談論に似て居ります。三叉という人
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