にお母さん友ちゃんとわたしという組合わせでは、女である私はここにいると同様になってしまうでしょう。最悪の場合を考えても、やはり私はあちらに住まず、仕事を自由にたっぷりして、その結果で出来る丈お力になるのが一番よい方法と思います。岩本さんの娘が来ているらしいのね、文子というのはその娘さんのことなのね。そういう人がいれば猶更わたしは、あちらにいる間は若い女教師の常識で納得出来る暮しぶりでなくてはならず、それは定評をつくり、つまりお母さんのお気持に及ぼしますから(それに岩本家というところの風があなかしこだから)。途中東京へ一寸よって見てもいいかと思います。てっちゃんなんかに。(仙台からおくさん子供よびもどしたい由)そうするともう十月ね。わたしの心配は、郡山、青森、函館というようなところはいずれ進駐地でしょうから、その時はまた交通途絶いたします、よほどうまく取計らわないと今年一杯、それ又ふさがったで過してしまいそうで、あぶなかしくてたまりません。だから、どうぞして本月半ばまでにそちらに行けるようにしたいの。それにしても、あなたは何と僅かの間をお動きになったことでしょうね。
 そして、郡山が進駐
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