「日本のような大国が、事態変化に応じて直ちに連合国に協力し得るということは一つの驚くべきことだ」と云っている由放送しました。ロイテル通信によれば「外交問題専門家の見解はドイツと日本とは全く違っていた、日本はバルカンの事情により近似している」と云ったと放送がありました。そういう世界の声、眼がまぢかに伝えられるのが、一区切りすると、近松門左衛門作忠臣蔵の舞台中継、さもなければ講談などというものがあります。
それらの間に挾って、わたしはそちらへの切符のことを思い、仕事を考えて居ります。
わたしは、ともかくどうしてもそちらへ一度行かなくてはなりません。いろいろの用事や相談にのって頂きたいこともあって。
いろいろの人が身のふりかた――身の上相談もあって。例えば、うちの知合で、芝のおじいさんがいたの御覚えでしょうか。その人の息子がわたしに会いたいのですって。これも身の上相談よきっと。就職についてでしょう。てっちゃんもあの勤めはなくなりましょう。わたしは、しかしいそいで上京し、たよりにならない相談対手を買って出ようとはして居りません。ともかく、そちらに行き、わたしは、勉強し書いてゆくことを益※
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