時に相当だったから心配です。のみならず、島田のことが気にかかります。お母さんのことを思うとわたしは切ない気がいたします。速達をおくれて拝見して、すぐ速達の手紙さしあげました。又昨日もかきました。ここからあすこまで何日かかるのでしょうね。以前のときと違いますから、達ちゃんの仕事のあとを人におさせになるということも出来ますまい。
わたしがどれ丈たよりになるのではないけれども、お母さんを思うと黙っていられず、ともかく網走へ行ってお目にかかって相談して、その上で何とか方法を考えたいと申しあげました。こんなに北の果、西の果と心が二つに分れて苦しいことは初めてです。あなたのお気持ではユリが行って、何が出来なくてもいいから御一緒に暮すことをおのぞみでしょう。お母さんのお手紙をよんだとき閃くようにそう思いました。それがあなたのお気もちでしょうと。けれどもブランカとしては、どうしてもこのままあちらへ行ってしまって、どうなるか先の分らない生活へ入るのは余り切ないのです。そちらへ一度でも行って、お目にかかって、あなたがそうしろと仰云れば、ブランカは自分に与えられた義務だと思って、或はもう二度とお目にかかれ
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