劣りません。或はもっともっと切々たるかもしれないわ。あとで、昼飯をたべたら、郵便局へ行って小包が出るかどうかきいて来ましょう。そして、もし出るようならわたしの代りに本と薬とをお送りいたしましょう。本は、本当に何がよいかわからなくて困ります。すこし支那関係のものがありますがどうかしら。御参考までに。『日本・支那・西洋』後藤末雄。『印度支那と日本との関係』金永鍵(この人は仏印の河内《ハノイ》、仏国東洋学院同本部の図書主任)。『支那家族研究』牧野巽 生活社版。この人は私は存じませんけれども、どういう人なのかしら。『海南島民族誌』(南支那民族研究への一寄与)スチューベル(独。民族学者)平野義太郎編。『十三世紀東西交渉史序説』岩村忍。三省堂。これは主として中世のヨーロッパ人がどんな風に東洋を知っていたかという側から書かれていてマルコ・ポーロがとまりです。創元で『河竹黙阿彌』河村繁俊。石井柏亭の『日本絵画三代志』明治からのです。著者が著者だから常識的ではありますが、気がお変りになるかもしれません。一ヵ月に一度の封緘故、本のことはよほど前もって分っていないときっとさぞ御不便でしょうと気になります。そ
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