す。あに、精励ならざるを得んや、というのは真実であるとお察し下さい。
お手紙がうれしかったせいもあって、きょうは二階へ水を運び上げ火の用心をし、さてそれからチャンスと思って風呂をたきつけました。いい工合によく燃えついていい気分で、台所の裏で石炭集めしていたら、どこかでザアザア水が流れる音がきこえ出しました。又どっかで水道パイプが破裂したのかと思って燃《た》き口へ来て見たら、どうでしょう、いい焔を上げていたカマの口から、地獄の洪水みたいに黒い水がザアザア流れ出して居ります。循環パイプのカマなのよ。上り湯のパイプがわるくなっているのを思い出しすぐ上り湯をあけました。それが原因だと思っていたら、さっき、みかんの皮(ミカンの少々の皮、ふろに入れると手のアレ直し)を出しに浴槽をあけたら、湯槽の方の太いパイプがそこ抜けになってしまってすっかり減っているの。ああやれやれと歎息してしまいました。これで哀れなブランカは何日かヒビだらけの手でお湯に入れなくなりました。今こんなパイプの直しなんかおいそれと引受けるところはありませんし、どうなることでしょう。もしかすると、これで当分フロおじゃんということかも
前へ
次へ
全251ページ中19ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング