は何と読むのでしょう、三眺 ミナガメというの? それともサンチョウ? 三眺めらしいわね、一度で足りず三度も眺め、しかも飽きないというわけでしょうか。いよいよ愉快ですね、三眺めの番外なんて、健之助に云わせると全くシュテキ(素敵)だネエだと大笑いです。健之助はイイネエ! という、いかにもよさそうな感歎の表現とこのシュテキだネエを知って居ります。
夜八時頃の上野、ひどかったでしょう? あの広いところに一杯の人々とその気分。成程とお思いになったでしょうと思います。こちらへ来る日(五日)は十時の仙台行臨時でしたが、八時から列に立ったのよ。まる二昼夜おかかりになったのね、しかし順調の方でしょう。ずーっとぶっ通しでしたろうからお弁当や何かのことも不便だし、さぞ、お疲れでしょう、おなかは揉まれたせいね。どうぞお大事に。東北の美しさには、独特な原始生命が感じられるの、御同感でしょう? 西のように人馴れしていないわ、まだ歴史に織り込まれず、自然は自然のままその営みを営んでいるようで、一種情趣がございましょう?
木造の室にお暮しなるというのは気が楽のようです。空からのことは閉口だけれども、そこの流氷とコ
前へ
次へ
全251ページ中154ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング