ンクリートと結びつけて考えると、凍えるようですから。やっぱり虫が少いのね、痒いことが少い夏はどんなに快いでしょう。東京から来ると、ここでさえ、こんなに蠅が少いところではなかった筈だのに、と思い、まア何と蚊がいないのだろうと、清潔さにびっくりいたします。猶更でしょうそちらは。
 この頃すこし冷えるのね、きょうも紺がすりの下に肌襦袢を着て居ります。
 隆治さんとお母さんへのたよりは、これのあとすぐ書き御近況もおしらせいたしますから御安心下さい。
 速達はおくれたところへこちらへ廻送の分となったのでしょう。このお手紙は三日にかかれ、六日目について居ります。市内では半月以上かかりましたものね。この間多賀ちゃんから手紙が来てわたしが去年から多賀ちゃんに手紙書かない、と云って歎いて来て居りました、そうだったのかしら、と信じ難く、生活の遑しさを省みました。本当にひどかったのねえ。多賀ちゃんにもゆっくり書き、お母様もこれから御心配いただかないように書きましょう。殆ど毎日書いていたそちらへの手紙が、本年になっては、この間うちあんなにまばらになってしまったのですものね。それで十分がたがたぶりがわかるという
前へ 次へ
全251ページ中155ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング