足のままでしたから九時頃大いそぎで湯たんぷをかかえて二階へ上りました。寿江子はいやがらせに「いいの、床へ入るとどうせすぐよ」と申します、「いいとも。五分だっていいよ」と床へ入って、さて一眠りして気がつくと鳴らないじゃないの。まあ、と枕の下から時計出してみたら十二時。じゃあ三時頃かな、と又いいこころもちに眠って、又目がさめたら、まだ鳴らない。おはなしのようでしょう? 時計を出したら五時すぎなのよ。さてさてきょうはめっけものだ、これなら朝も大丈夫と、又もや一つね返りを打って、一息に九時半まで眠りました。凄いわねえ。ずっと眠る心持よさ。いつもこうして眠っていたのね、そちらもおらくでしたろう? よかったわねえ。そんな風に臥ましたからきょうは元気だし、天気もよかったし、寿江子が台所に働いている間、ポストへ行きました。そして二十九日のに、やっとめぐり合ったという次第です。
 いかにもいいおせいぼだったのにおくれておしかったこと。其でも結構なお年玉であることに変りはございません。
 本当に去年はなかなかの年でした。精一杯にやってその日その日を送ったので、回想というところまで時間のへだたりがまだ生じて
前へ 次へ
全251ページ中15ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング