っぱ一本に響いて迚もやれないらしいの。二人家内で四銭の野菜などというものは、大きい蕪1/4に小カブ一つよ。葱ですと、二本です。やって行けなくはある[#「る」に「ママ」の注記]が、其しもやはり土台で、天井知らずのものしかないというのは生活の安定性がなくてやり切れないらしく、北多摩の辺に見つけたがって居ります。せいぜい見つけて頂戴と云っているのよ。ここがやけたら目下ユリちゃんは行くところがないのですから。
国男たちきっと新年のハガキもあげないのでしょう、御免なさいね寿江子だって。云っているくせに。うちの連中ってひどくナイーヴで眼玉に映っていないとケロリとしてしまうのね、わたしだって同じ扱いうけたのだわ、但、そのときは寿が熱心で助りましたが。では又寒さを呉々も御大事に。
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〔欄外に〕
「風に散りぬ」について一寸おもしろい話ききました、次の手紙で。
[#ここで字下げ終わり]
一月十三日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(封書)〕
一月十三日
けさ、二十九日(十二月)のお手紙到着しました。ありがとう。
まず昨夜の話からいたしましょう。ゆうべは、一昨夜眠り不
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