えて眠れるのでしょう? 食べるものよりもわたしは其が欲しゅうございます。とび起きて、モンペはく丈にして眠るのには馴れてもいやです、もし行けるとして月末でしょうね、さもなければ二月初旬。(こっちの方でしょう)実におみやげがなくて閉口ね。おみやげを当にしていらっしゃらないにしろ、自分のこころもちとして、何年ぶりかで、はいこんにちわ、ケロン。としているのは気が弾まないわねえ。下駄はないし。あなたの衣料切符の点がすこしのこっていて、一月二十日までですから、羽織の紐でも買っておきましょう、行くにしろ行かないにしろ。(行かないというより、行けない[#「行けない」に傍点]かもしれないにしろ)そういうものはみんな送っておいて、自分は例のノラクロ姿にヘルメット背負って弁当二度分もって、或は何里も徒歩連絡の決心で行かなくてはならないのだからかなりの仕事となりました。罹災者として以外の旅行は益※[#二の字点、1−2−22]困難ね。
 寿江子は一昨々日千葉へ一寸帰り、今又来て居ります。あのひとも千葉を動く気になって居ります。主として経済上の理由から。あっちはちゃんとした野菜や何かの配給がないから物価の高騰が菜
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