なくなっていました。全くあのときはホホーと思ったものでした。
夕方になったら冷えて来て、わたしの鼻の中が妙に痛くなって来ました。薄ら寒いのよ。これは風邪の下地です。もう五時四十五分ですからわたしも夕飯こしらえて、たべて暖くして早く横になりましょう。咲は火曜日にはどうしても帰るのですって。そしたら又わたしの司厨長よ。ですから風邪は迷惑です。
これから台所へゆきます、何をたべましょうね、有っての思案ではなくて無くての思案よ。忽然として天に声あり、エレミヤのラッパのように鳴ります、「カロリー。カロリーを忘れるな」と。笑ってしまうわね。鞠躬如として答えます「ハイハイ、油気が入ればようございましょう、油は貴重品ですから」と。よって、油で御飯でも焙めてたべましょう小松菜の切ったのでもまぜて。こんなところが上々の部ね。
御報告いたします。御飯いためにタラを入れました。いいでしょうそれなら。タラは一切れで何カロリーとは云えないけれど、いいのよ。いいことは。
さて、今湯タンポのお湯をわかしています、これがわいたら上りましょうね、あなたももう下に格別用事がおありになりもしないでしょう。きょうはふと
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