ず、そうなるのではないかしら。国府津は貸すでしょう。段々にそういう準備もいたします。もう少し丈夫になって、神経が調子よくなれバ、わたしも何かすることが出来るでしょうし。この秋までは余り頭や気をつかうのは無理だから。でも考えてみれバ、いいかげん世間の人の倍は此までつかっているわけね。
 ハガキでかいたにくまれ口は、笑いながらにらむ、という程度のものよ。(念のために)
 今は丁度学生が休みになったので、駅は徹夜で行列だそうです。特に遠方は猛烈のよし。じぶくっていたうちに、こんどの話のようなことおこって、何といてよかったでしょう。国は寿の知らないうち、除籍する方法はないかと云った人だから、(この上迷惑を蒙らないための由、寿がどんな迷惑をかけたでしょう、それほどの)うっかりすると、帰って来ようとするとき手紙が来て、姉さんはとりあえず国府津へ転出しておいたから、などということになりかねませんでした。こんなことの虫の知らせとは予想もしませんでしたね。きのうばかりは、あなたもふうむ、ふうむとおうなりになったから、気の毒な蘰《かざらし》のさ百合が凋んだのもうべなりでしょう。
 疲れたようなところだから
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