生、書生の暮しはこういう風よ、卯女の家で電球がなくて百燭つけてハラハラしているのよ(電球隣組配給、今切りかえで市中で買えないものだから)灯が洩れるところへ丈盲爆がきますから冗談でないでしょう。だから二つの補充球を寄附しようというわけです。母さんが放送して帰りに日暮里まで廻るのよ。こうですものね、女性お気の毒です。
きょうこそ又七時に床へ入りたいと思っていたのに、今夕飯終り九時五分前です。三行前のところで八百やの配給があり、一時間十五分立ちん坊いたしました、そして暗くなりきらぬうちと大いそぎで御飯たいて、日暮里へ行きました。靄のふかい月夜で、感情を動かされながら歩きました。十一月下旬でもこんな靄のこい夜がありますね。九時すぎ、ボーが鳴りそうだから出してしまうわ、ね。これで。
[#ここから2字下げ]
[自注15]十三年の封鎖――昭和十三年頃、中野重治や百合子等に対する執筆禁止の措置。
[自注16]格納庫にいるきりじゃないか――この手紙を書いた頃、百合子は二度めの執筆禁止の状態におかれていた。そのことをさす。
[#ここで字下げ終わり]
底本:「宮本百合子全集 第二十二巻」新日本出版
前へ
次へ
全357ページ中356ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング