うに、先ず毎日の雨で示されるようになって来たとでもいうのでしょうか。今頃ヴルヴァールの枯葉が雨の水たまりに散っていて、急に雲のきれめから碧い空の一片がのぞき、その水たまりに映ったりしていた光景を思い出します。夏の夜は白い服の人々やガルモシュカの音楽や声々の満ちていたベンチが、人気なくぬれて並んでいてね。公園や並木道の秋、雨の日などの風情は、このぬれて空なベンチで特徴づけられます。リュクサンブール公園は今度の巴里の戦いでは主戦場になったそうでしたから、この秋あすこの美しい樹木や彫像や其こそベンチはどういう姿で秋日和の中にあるでしょう。十月下旬は驟雨が多いわ。その中にふとコーヒーの匂がするという工合で。ムードンの森も、きのこ[#「きのこ」に傍点]を生やして、しずかでゆたかな森と云えない秋ですね。リュクサンブールのぐるりには中国の留学生が多くて、あの人々のフランス語は自分の国の喉音や鼻音と共通なところがあるせいか、きわめて自在です。互に自分のことばで話さないのよ。でも、やはりこの附近のやすい支那飯やへ行くとそこは国の人ばっかりで(ああ。そうそう。裏へ返さなくては。つい忘れて)お国言葉で談論風
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