、あのわたしのたのしみにしているお喋りをくり出しましょうね。
 言行録、ちょいちょいお先に拝見して思いましたが、家光の時代というのは、丁度いってみると明治興隆期(四十年ころ)のようなもので、実に卓出した人材が多かったのね。松平信綱なんか大した智慧者のように教わっていましたが、人物としてはもっと上品《じょうぼん》なる士が一人ならずいたようです。伊豆守は巧者なものなのね、智にさといというような男で、強く表現すれば極めて抜目ない秘書よ。剛直とか、深義に徹した判断とかいうことより、抜目なく世情に通じていてそれで馬鹿殿様や押し絵のように、ゆーづーのきかない役人を動かしたのね、常識家の下らなさがあります。大久保彦左衛門は、明治でいえば、何ぞというと御一新をかつぎ出す爺さんで直言が身上、但あの男だからと通用するというカッコつき人物ね。
 本当の人物らしい人物たちは、昔風の忠義ということ(範囲)においてもつまるところは「事理に明白である」ということが基調となっているのは面白うございました。だからこそ時代をへだてた私たちに感興を抱かせるのね。同時に、そんなにきょうの日常は、事理明白ならざる混沌のうちに酔
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