う風に特別な区切りや色彩のない簡素な室で、ゆったりした机の上にだけいくつかの愛物ののっているのがすきです。相変らず支那焼の藍色の硯屏とうす黄《キイロ》い髯の長い山羊のやきものの文鎮がひかえて居ります。この形で当分暮すのでしょう。
 さて、やっとお天気になりました、きょうは暖くもあったことね。きのう、掛布団届けましたから、あす明後日にはおかけになれましょう。雨の夜こそ綿の厚いのが欲しい気もちがするのにね、今年こそ、と思ってあんなに早く出来しておいたのに、差入れられる日限が来たら雨つづきになってしまって。あの雨つづきは、暖流異変というのだったのよ、御存じ? いつまでも暖流が流れて来て寒流が来られないでいたんですって。だもんだから秋刀魚も、乗って来る潮が停頓してしまって、どっかで停電[#「電」に「ママ」の注記]してしまったのですって。黒点との関係だそうです。いろいろ変ったことが起るのね。
 きょう、あなたのねまきをほして、自分の体が痒くなるようでした。マアマア、よくもよくもくったこと! 痒い痒い、おなかのまわりね。あれ丈になるのには、全く夥しい数の輩が、一匹ずつたんまり頂いたことを物語って居
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