月と思ったわ、よく見えなかったのね。大笑いして其用もかねてです。一月号はギリギリの月末か二月に入る由。よく月おくれに女の雑誌が出て、気をもんだこと思い出し、感想多くありました。それから二三軒先へ辿りついて店へ入ったら在る、ある、ある、金曜日に見たところに積んであります。札が下っているのを、今度は何しろ買おうというのだから、念を入れて見たら、三十冊揃いで五十六円ばかりと見えたのに、どうでしょう、ここでも一がぬけていたのよ、一は百なのよ、つまり百五十六円だったという次第です。びっくり敗亡。内心苦笑してしまいました。この訳本はいいのだけれども今はそれだけ出しにくいわ。売っても惜しくない本をパチパチと弾いたがやはり一が邪魔です。バルザックがこれ丈分るようになったと思うと、「ドン・キホーテ」がよみたいのですもの。暫く佇んで首をかしげていたけれど、思いあきらめて店を出て、其でも二十三日だからと、江戸時代の文化を書物から見た研究や、女流文学の古典のありふれた資料ですが二三冊買ってかえりました。ああ、こうかいているうち又未練が出て来たこと。欲しいことね。でもと考え直すと、あの三十冊の中でオースティンの
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