愛すべき表現をとるしかないということは、ほむべきかな、と云うしかありません。

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[自注11]きのうは御苦労さまでした。――顕治の第四回公判の陳述。
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 九月七日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(封書)〕

 九月六日
 風があらくて、空では雲がきっとはげしく流れているのでしょう、初秋らしくかーっと日がさすかと思うと急にかげります。
 食堂のテーブルで、食べながら、これをかいて居ります、珍しいことでしょう、くいしん棒のわたしが、どういうわけで食べ乍らなんか、とお思いになるでしょう?
 わたしもどうしてか分らないが、どうも書き乍らでないと、今はゆっくり食べられないのよ、カチカチのやいたパンは、かむのに時間がかかります、つまり早く話したいのね。朝おそくから今まで、成城へやる荷ごしらえをして居りました。去年の春から荷ごしらえ一般は随分やって、力に叶うものならば技術もたしかになりました、けれどこんどのこの荷作りは、特別な思いがわたしに湧いて、一服したとき、あなたに黙っていられないところがあるようになりました。
 成城への荷物なんかはじめは只あ
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