ストイは、「戦争と平和」にしろ、事件の大さそのものを性格と等位におき、大事件にかかわるかかわりかたのモティーヴを個々の性格においている。現実はいつもこの均衡を保ちません。殿様としての生活の立場がこういうところにもあるわね。将来の作家には大した仕事がひかえています、大きい規模で事件を全輪廓においてとらえつつ、自覚ある性格の活動が統一して描かれなければならないのだから。この節の作家のように一二枚の新聞用原稿に、維新頃の壮士文学のような肩ひじ張ったポーズを示して満足していたとしたら、こういう大事業はいつ、どうしてなしとげられるでしょうね。
 合点の上にも合点すべきということは全くであると思います。
 この前九日にかいた手紙につづいて、又巻紙に歌かいてお送りしました。ついたかしら。
 九日にかいて、きょうは十七日だから御無沙汰になりましたが、間で、初執筆をして居たので。二通りかけなかったの。
 私たちに白藤をくれた古田中夫人(母のいとこ)のこと名だけも覚えていらっしゃるでしょうか、あのひとが、やはり糖尿で、十六年の十二月十何日かに死にました。こんど追想集が出るについて、私にもかいてくれと云われ
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