ってそこにいて、眠るのは二階らしいの。食事は食堂だって、腰かけの。うちのような工合ね、同じことして居りますもの、食堂で今はこれさえ書くのだもの。やれそうでしょう? 運がよかったと思い贅沢は申しません。これで一区切りね。そして第二次夕飯よ。今夜はよく眠れそうです、月夜でしゃれているし、こうやってすこし話せたし。
八月十二日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 福島県郡山市開成山南町一八六中條内(封書)〕
八月十一日
きょうは、十七八年ぶりで、ここの家の奥の机でこれを書きはじめました。こんどは急に来て御免なさいね。二十五日に国、咲がこっちへ来て、国の帰って来たのが四日。その晩に、こんどは姉さんも是非つれて行くよ、という話で、わたしもホトホトグロッキーだったから、それは行きたいけれど留守をどうするのさ、と云ったら、それについちゃあ相談して来た、と事務所に十何年勤めている女の子とその親友の子供づれの女のひとに来てもらうようにしたのですって。何しろ九日にはどうしたって立つというのに、それ迄に果して留守の人が来るものやらどうやら何だか分らなかったので、お話しするのも火曜日になってしまったわけでした。
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