え、眠れなくなることがあるようになって、そういうときの工合わるさ、御同情いたします。どうぞ、どうぞ御大切にね。
 咲ひさしぶりでしたろう? 二十三日に出て来たのよ。六時すぎてしまって、さてこれからもし御飯炊くのだったら閉口だとふらふらになって入って来たら、台所の外のカマドで火をたいているのが咲だったので、わたしはうれしくて、ウームああちゃん! よく来てくれたとうなってしまいました。あっこおばちゃん! どぉうした? 二人が抱き合うような「感激的場面」を展開しました。〔中略〕二十四日にはどうしてもと思って来たのですって。こういう思いやりのあることを咲がやってくれるからどうやらやってゆかれます。あなたも咲を御覧になって、やはり似たようなことお感じになりましたでしょう。咲と話したのよ。あなたは輪廓だけにしろ、私の暮しのあれこれを御存じなのだから、ああやって咲がいるの御覧になれば、マア、その調子ならユリもやれるところもあるだろうとお思いになるでしょうって。そして、それは只何年ぶりかでお会いしたというだけのことではない、生活のこころもちをあなたに感じさせ、どんなにいいきもちか分らないから、私もうれ
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