」に傍点]修養のため隠遁したのだろう、と日本人としては、著者としての信用問題にかかわりそうな間違いを犯して居ります。インド、アラビアにまでふれているから、面白い本と思います、「ヨーロッパ」の方が、ましであるという意見は本当でしょう。同時に、日本人[#「本人」に傍点]が東洋をどの位知って居り、近似感をもっているか、ということについても反省されます。近くて、而も遠いというのが日本と他の東洋諸国とのいきさつのようね。日本人はちがうと[#「がうと」に傍点]いう、習慣的な考えや感じが日本人につよくあって、その程度は他の東洋人に推測がつきかねるところに、いろいろ複雑になるところもあるでしょう。
きのうここいら迄かいたら、庭にいた犬が吠えはじめ、ピー、ピーと短く区切った口笛がしました、太郎の口笛なの。マア、太郎ったら。すっかり田舎っぽい日にやけた顔色になって、落付いた少年ぽさで、田舎言葉で、見ちがえるようです。よかったこと。黙って大にこにこで。早速裏の親友ミチルちゃんと遊びはじめました。うちの連中のいいところは、田舎に対して都会風の偏見が全くないことです。子供は、だからすぐ自然田舎言葉になって、周
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