ましょうという二十八日ですから、今炊いて居ります。夜あけに起きて警戒しましょう、というのはどういうことをするのでしょうね
 きのうは朝公共防空壕の修繕を隣組でやりました、国がオバーオール着て、鉢巻きして出ました。わたしは台所するとき、薄緑の布で髪をつつむのが好きで、これは灰で髪をよごさない実効がありますが、鉢巻は気分ものね、てっぺんの薄いところもまる出しだし、まさか頭の鉢が、あの手拭一本でしまるほど、それほどたががゆるんでも居りますまい。国は身なりも極端ね、この間は咲の迎に、ハッピ着てゆきました。「目黒のさんま」(落語)のくちね、殿様の御微行は、いつも下賤におなりです。実直な働く人々が、自分の身分に謙遜して、ちゃんとしてなくては失礼と思う反対ね。
 きょうの二人遊びは、右のようなわけで肝心の午後が潰れてしまって、まことに残念でした。先週は国ずっといて、咲が来て大バタバタだったから、今日はほんとに待ちかねていたのに。でも、寿はよろこんで休んで帰ったから、あなたも計らぬ功徳をおほどこしになったわけです。寿も一人きりの生活は、食事の一人のことなどつまらないようです。あのひとも十二月から大変だ
前へ 次へ
全357ページ中134ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング