たのですが、父さんは、手紙をよこされ、小さい男の子は自分が親代りになって育てるつもりだとのことです。これは婚家の気風の何かを無語のうちに反映していますし、娘の将来の生きかたについて思いなやんでいるとありました。娘さんは何か相談があるのでしょう。私のような後輩まで娘にとっての先輩としてそんなことも話す父親の情をつよく感じます。私たちも、情の深い父親をもって居りましたから。覚えていらして? スカンジナヴィアへ行かないかと云ったこと。あんな風でしたもの。それを云ったときの父の遠慮したような、心を砕いているような表情を時々思い起します。娘さんとしては又おのずから様々の感情でしょう、だって、父があんなに万全をつくして確保してくれようとした幸福、しっかり枠をつけてそこから逃げないようにしてくれた筈の幸福は、こんなにもあっさり破れたのですもの。父さんの力をもってしても及びがたき人生を痛感しているでしょう。
そして私はこう考えるのよ。父さんの愛は常識に立ちすぎていて、幸福と世上に称する条件を、そのまま固定的に揃えて、それで幸福を確保しようとするところに悲劇があります。勇気をふるって、お前の不幸をも賭
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