たところが出来ましたから。先の入院の前後の心理と今の気持とのちがいには種々まだお話していない原因があり、それはやはり何か意味があると思いますから、この次に。(価値ということではないけれども。)それにつけても、どんな工合でいらっしゃるでしょう。メタボリン送らないでいいでしょうか。隆治さんの赤痢の話は、岩本のおばさまが、赤痢だったそうな、とおっしゃってでしたから。アミーバでしょうから又ことし発病しまいかと気にかかったのです。長くなりすぎましたからこれでおやめ。
七月二十一日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(封書)〕
七月二十一日、きのうは、本当に安心し、その前何となし眠りにくい夜を重ねていたので、半分ぽーとしてかえりました。出かける頃もうポツポツしていたのが、護国寺でのりかえるときは相当になり、団子坂で降りたらザアザアなの。もう古びたボクボクのキルク草履はいているのが水を吸って、草鞋《わらじ》に水がしみたように重いし困って、交番の裏にある電話かけて下駄もって来て貰おうとしたらボックスに人が入っています。仕方なくそこの三角になったペーブメントのところに佇んでいたら夏服着た少年がち
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