シャツ三枚同ズボン下二枚、麻半ジュバン等お送りしました。人絹シャツ(薄茶)と人絹白ズボン下一枚とはセルと一緒に五月中に。あとは六月下旬の小包が栄さんのところにたのんであってすこしおくれたので、もう、そちらについていることと思います。
「動物記」のこと。ブランカの弱点は正確に云われて居ります。しかしブランカにしてもまさか猟師を見そこなって別のものだと思うほど、嘗て鉄砲の匂いをかいだこともないという牝狼でもないでしょう。ロボーを歯がゆがらす幾多の弱点はもちながらも。私が云っていたのは、ごく限られた範囲で、同じ虫でも毒のきつくない刺し方の虫の方がしのぎやすいというだけのことよ。いたちはいたちで猫でも虎でもない動きかたをするのは知っていると思います。わたしは、お喋りでなくしていて、落付いた気分で居ります。喋ることで流れの方向をどうしたいという気ももっていず、そうなると思わず、あくせく書いてたつきを立てようという※[#「火+焦」、第4水準2−80−3]った気分も無くていれば、無用の叩頭も不必要で、そのためにはこの間の小説の経験が大いに役立ってよかったと考えている次第です。あの経験から、心のきまっ
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