りを。声を挙げ、なめらかさや、辷る曲線や風や水しぶきの芳しさを好ちゃんは満喫して体じゅうを燦めかせてくりかえし、くりかえしすべり下りました。私たちは何と其を喝采したことでしょう。我を忘れて、見とれたでしょう。すべって来てぱっと水の面をうち、好ちゃんの体が浮き上るようになるとき、戦慄が快く走ったことでした。夏のリズムは、夏のあつさにふさわしく旺盛で、開放的です。汗も燦きよろこびも燦めくという工合ね。私は仕合わせなことに今のところまだ夏負けしないで、去年の苦しさと全くちがう新鮮な元気で、(へばりつつも)夏のあつさを感じて居ります。まだまだレザーヴした毎日の暮しですから、一人前に暮したらすこぶる怪しいものですが。
今十五日づけのお手紙頂きました。十日のお手紙で字が大きくなっていたのに気づいたのですが、このお手紙で、最後の一くだりはやはり私を心配させます。熱が出るでしょうか、より悪くないために、でしょうか。それならばよいがと思います。私は近いうちにお目にかかりに行こうと思っていたのですが、今お動きにならない方がいいでしょうか。手紙を下さるから行ってもいいのだろうとも思えますが。下着類は、人絹
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