中勉強らしい読書もしたいと思います。この頃は国男が病院の習慣と云って(実は床についている時の要求なのだが)朝七時すぎ、みんなで(咲と私)朝飯をすませる程度に早おきになり、夜も原則は十時で、大体やっていて、私は大変好都合です。これ迄はダラダラと夕飯が八時にもなることがありました。
暑いときの読みものとして『マリー・アントワネット』上下、お送りしましょうね。シートンは一番心持よいのは一巻ですが、もしお気が向いたらあともお送りいたします。おしらせ下さい。夏ぶとんおくれて御免なさい。人手が一杯だったものだから。
ゆうべ、初めて蚊帖をつりました。白くて裾の水色の四角い小さい蚊帳です。ゆうべは、髪を洗い、体も洗い、さっぱりして、その蚊帳に入り横になり、蚊帳にさす月の光をうけながら新しい感じで、夜を感じました。手摺の上にさしている八日ごろの月や夜風。蚊帳の裾をてらす月光。「杉垣」の中に、作者は限りないいつくしみでそれを描いて居りますね。描くになおまさるという思いもあるものでしょう。
こういう暑さになると、快い飛沫をあげる水遊び、ウォーターシュートの爽快さも思われます。好ちゃんの勇壮活溌な跳躍ぶ
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