の位深く感じているのよ。東洋人風に、天[#「天」に傍点]という位。
ですから私があれこれ考えるのは全く文学の方法としてのことです。芥川龍之介は佐藤春夫のことを、生き恥をかく男と云って当時酷評とされていました。でもそれは一つの炯眼でしたね。私は昔から所謂文壇ぎらいで、そういう常套の雰囲気なしで生きて来ているし、いい友達はこういう折に益※[#二の字点、1−2−22]いい友達として誠意を示してくれるし、それだけの面から云っても孤独の感じはありません。それは圧迫となりません。そんなものは私に遠いわ。そうなわけでしょう? どうしてわたし[#「わたし」に傍点]が孤独でしょう! その人の人生にすじさえ通っていれば過去にも未来にも、知己は、各※[#二の字点、1−2−22]の卓抜な精励の業蹟の中から相通じる人間精神の美しい呼吸を通わせます。孤独になるのは、その者が、迷子になったときだけよ。日常生活の中においてさえそうです。宇宙の法則から脱れてほしいままに自分にまけたとき、孤独は初まるのでしょう。孤独について、私がこうかくには、私として浅くない感銘をうけていることが最近あるからなの。あなたも御存じの背の
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