の白内障でなければ幸ですが。そうだとことね。手術の出来る迄視力を失って行かねばならないし、糖尿末期に起ることで、白秋にしろ視力を失ってからじき肺エソになりました。神経疲労位であったら大助かりです。池袋へは来週のうちに参ります。母も眼の障害と内臓の病気は全く併行的でした。
この間のハガキのお礼呉々ことづかって居ります。
小説のこと。ありがとう。あなたは余りはっきりして何とも二の句のつげない比喩でものをおっしゃるから、私もあっさり兜をぬがざるを得ません。私のような粗忽なものでも、行先違いの便船にのっても一向進んだことにはならない道理だと云われて、イヤそうでもないかもしれない。うまく漂流するかもしれなくてよ、とは申しかねます。箇人的なあせりはないのよ。その点は御安心下さい。そういう焦慮が何ものをももたらさないことは狭い見聞でもよくわかり、まして金銭的展開などは大局からみて考えられもしません。私は自分の病気を大切に思い、今のようなとき自分がこんなに死にかかりやっと生き、命を蓄えて生きて行くということに、決して徒らならぬ天の指図があり、天は私の文学を劬《いたわ》ってくれると思って居ります。そ
前へ
次へ
全440ページ中166ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング