く小説。それには何かの面白さ、構造、規模があるでしょう、と。なお可笑しいのは、私は詩的な要素をたっぷりもっているが、詩人ではないということなの。だって、段々体が平常に近くなって来たら、御覧のとおり、私は私たち愛唱の詩を散文で話しはじめ、一ころのように眠れない頭にこりかたまった一行一行をおめにかけることはなくなってしまったのですもの。二月下旬「よろこび」と「円き盃」という二つをかいてからは一つもかきません。散文で印象がうつされます。(ここまで書いたら夕飯、そのあとへ久々で目白のお医者が見えました。私のグミ頭や顔がしびれるようなのは、体が或る程度まで癒って来たことによるリアクションの由。生理上の反動は、或る丈夫さがつかなければ生じない由。微妙なものね。実に面白く思いました。だから過労しないようにさえすれば、あれこれの些細な苦情は出たり消えたりする空の雲のとおりで降ったら傘をさそうと思っておく程度でいいらしいのよ。)
 いろいろかきたいことがたまっているから又改めて一つかき、これはこれでおやめにします。「衛生学」は未刊の方が事実のようです。本を買うのは予約になる由です。本屋でカタログを出すの
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