ころをみると、みんな相当私のウワバミ元気にはヘコたれていたらしいのです。更に滑稽なことは咲枝さんも心臓の為にそれを注射されていて、ウワバミ元気にあてられる度も一入《ひとしお》であったのでしょうが、しかしこの人の方は腰の痛いのがましだという結果に現われて、私のように悲しき女人足にはならなくてすんだのです。
こういう薬のこともなかなかむずかしいものですね。個人個人によって、受け方が大変違う、一つの体への+《プラス》と−《マイナス》の関係が本人にもよくわからなくて。つまりやめ時だったのだろう、という衆議に一決しています。今年の冬は私は大変寒そうです。足の冷え方が格別です。夜具が重くて、フウフウで狐の子のように落葉をかけて寝てみたい。重い病気のあとはそうですね。あなたもボタンのかかるシャツは一冬お着になれませんでした。やはり胸がつまったのね、夜具の重さなども胸にかかるから不思議です。本当は足先にかかっているのに。心臓にこたえるのね。十年昔の大事大事の木綿のあの蒲団を今年は始めて蔵《しま》いそうです。大学書林のはついたでしょう。橘は現在は目録を出していないそうです。本はこちらへとっておきます。
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