いているけれども、定例で一日置きの今日来てくれるまで、私は目なし鳥でした。
ユガマンは三〇〇錠で十一円、当分切れることはなさそうです。一日何錠かは聞き忘れましたが、凡そ八錠位でしょうがちゃんと聞いてこの次お知らせ致しましょう。ADはそちらで買っていらっしゃるのでしょう?
タオル寝巻が別にもう一枚あったというのは安心の様ながっかりの様な工合です。何故なら、あれは天にも地にもかけがえなしと思って、私の蒲団の上に伸ばしたりちぢめたり、ミシンでガチャガチャ半日やったり、おまけに私が上前と下前を取り違えたり、苦心と滑稽の交ざった誠に暖い生き物なので、それが領置でほとぼりがさめるのかと思うとがっかりの次第ですが、世間並の女房の言い草を真似れば満足なのが別にあったのは結構でした、と言うところでしょう。『微生物を追う人々』はまだ読んでもらいませんが、そのことは寿江子も言っていました、ああいう学者がコッホになって始めて学者らしい顔付になって、先駆者達はなかなか冒険者風の相貌をもっているというようなことも言っていました、先駆者達は世間学にも相当長けていたらしい風ですね、『娘への手紙』は上巻でも、おっし
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