らへなどは燃料がないから恐らく金をいくら出しても行かないだろうということです。そちらから林町までで二十七円だったとかです。あちらへ一緒に行く人のことも頭痛の種で、あすこだって私には目代りになってくれる人がいるのですものね。ただ御飯をたけばそれでいいという人では間に合いません。今日まで寝ている内にまた看護婦と派出婦というものをみると、こういう仕事をする人の質が半年の内にどんなに落ちたかということが驚かれます。余程足りなくて掃除がちゃんと出来ない人が、一日二円で仕事をひどく怠けるというのだから恐縮千万です。行く人のことは目下研究中です。東京へ毎日通うにはこの頃の汽車のひどさがあまり丈夫でない女の人などには無理でしょうし。空想に近い希望は、多賀ちゃんがあっちで信用のある医者に診てもらい、菌が出ないと判明したら気胸でもやって、やがて国府津に半年位も暮せたらということです。多賀ちゃんならそちらの用も極く自然にたす気持ですし、目白の経験でお互いの気持も相当わかってきていると思いますから。でもこれは又これで多賀ちゃんの婚期ということもあり、もう来年は二十七ですし、単純にも行きますまい。多賀ちゃんの心
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