と思うけれども、それを頼んではあんまり勝手でしょうか。明日は寿江子がお目にかかれるだろうから、そちらの御意見を伺って、てっちゃんの都合がつくなら、旅費を出して行っていただきたいと思います。本当に小包みさえ早くつくならば。

 こんな心配をして、お七夜さわぎをして、夜番をするのだからアッコオバチャンだって気もたつわ。無理ないでしょう? おまけにね、どてらの心配もあるのよ。辞書をひくなんというやさしいことではなくて田中さんという浅草の女の人がいつになったら我が御亭主の為にポンポコどてらを縫い上げてくるかという心配。何しろ、東京の人はこれまで袷で冬を越しているから綿入着物が珍らしく、縫う人はゴテてそれが恥かしくもない顔をしているから毎年私は恐慌をきたしています、九月から頼んで十一月一杯というのが今日もう三日でしょう、ですものね。
 あなたの十分の一の正確さをそういう人達が持っていてくれたらあなたもどんなに楽でしょう、(何だか吹きだすわね)
 達治さんが去年六月に応召の時は面会が出来なくなりましたが、今度はどうかしら。あんまり多勢動く時はそうなるのですが。
 自分で行けないのは何て歯がゆいでし
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