仕事しはじめましたが、疲れが後にのこっていて、そこへきのう四時間も独演だったのできょうは些かおとなしい状態です。もう鼻の奥の痛いのはなおりましたから大丈夫。眼も大丈夫。
 あなたはいかが? 二十七日に書いて下すったお手紙、速達頂きました。すぐ森長さんへ電話いたしましたが、どうだったかしら、日曜日に行かれましたかしら。今の風邪はあとが大変長びきます。呉々もお大切に。
『フランス敗れたり』あれで大観堂は一財産をこしらえたそうです。歴史の何の真のモメントにもふれていない。ふれ得る男でない。それでも、世界がどう動いているかを知りたいという思いのピンからキリまでが、ともかくよむのね。良書として紹介したりしてあったりします。この間『帝大新聞』で今日の読者と作家とのことをかいてくれというので、私はたとえば『フランス敗れたり』を作家がどうよむかその読みかたにおいてそれぞれの作家が所謂読者として考えている人々と、どういう相異をもち得ているか、今日では読者の問題は、作家にとって、自分がどういう読者であるか、という点に省察されなければならないということを考えました。もとのように作家対読者という関係でだけ見て
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