いるもの、それとの対比そのほか、日本の婦人画家は目下展覧会へかいたりする人でこの位生活的なひとはいません。そのこともいろいろ考えます。新井光子なんか、今 New York でどんな勉強をどんな気持でしているだろうかと思ったりして。伝記を学びたいと思います、ケーテの。
 竹村の本は、こんなものだの、ヴァージニア・ウルフの「婦人と文学」についての感想をすこし長くこまかくまとめたものだのがかけたら、そのほかのものと一緒にして、本に出来るでしょう。ケーテのことはこれだけ書いてみたい心を動かされる。日本にそんな婦人画家が出たら私はどんなにうれしいでしょう、ねえ。たとえばレムブラントの生涯はベルハーレンが詩人らしさで描いています、しかし私が新しく書いたっていいわ。そういうものがあるわけです、レムブラントの芸術的生涯には。却ってミレーなんかよりあるのです。日本の洋画家の誰がそうでしょう? それもこの間考えました。男だって、ないわ。
 ケーテについて正しく書ければ、やはりうれしいと思います。専門家でなくたってね。通俗講座でなければ、ね。でも、通俗講座とはよく穿たれた表現です。
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