お米をいれて、二三日も国府津へ行って来るぐらいのことしゃんしゃんやればいいのに、それをやらず、どっかへ行ってみたいナなんかとばかり云うから、あなたはユリが、少し働いては休養休養という珍妙エリート女史かと訝しそうになさるのね。そうでしょう?
あら、やっとお恭がかえって来ました。十一日に出かけ、十八日にかえる筈だったところ、十八日にツゴウニテカエリ一九ヒトナル電報が来て、やれやれと思って居りました。まアこれで私の日常も再び順調になります。仙台のおみやげという堆朱《ついしゅ》のインクスタンドだの、お母さんのおみやげのころがき玉子。
茶の間の隅に山田のおばあさんのくれた四角い台を出していて、その上には諸国土産が一揃いのって居ります、箱根細工の箱のハガキ入れ(稲子さんみやげ)鵠沼の竹の鎌倉彫りのペン皿(小原さんという、お恭ちゃんをよこしてくれた娘さんのみやげ)女の子が彫った小箱(それにはそちらへ送る本にはるペイパアが入っている)朝鮮の飾りもの(栄さん稲ちゃん)そこへこの堆朱も参加して、茶の間のものらしい文具一組です。
二階のは全く別でね、これは例のガラスのペン皿その他変ることなき品々です。
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