しょう。
二十九日にね、かきかけの手紙があるのよ。それは、お客で中断されたというばかりでなく、むずかしくて、今よみかえし、やっぱりこういうテーマというものは何と捉えがたく、云いあらわすにむずかしいだろうと感歎いたします。
夢が本当のようにまざまざとそこに坐っていらっしゃる絣《かすり》の膝だの、そのわきに仰向いて高く二つの手をのばして、重い頭をその手の間に感じ、響きのような訴えを心に感じているままさめて行って、そうでない朝の中に出てゆく心持は、何と独特でしょう。
あなたにもおそらくは、こういう明方の訪れることもあるでしょうねえ。昔の歌よみは夢の通い路というような表現をもっていたけれど、それはそんな限られた幅の上でのゆきかいではないと思えるのよ。そんなことみんなかきたくて、書きかけて、どうも下手にしかかけなくて。
余韻の中にゆられていて、ひるから迄も私はいつもの心もちでなくて、涙がこぼれるようなのに、書けないの、可笑しいでしょう? こういう情緒を表現する方法はつまりは二つしかないものなのね。一つは極めてリアルに決して体にわるいことのぞんでいるのではないわ、ただただ、と願っているその
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