た由。よかったわねえ。一時間で生れ、お乳もたっぷりたっぷりですって。これこそ全く何よりです。この頃人工栄養でなくてはならなかったらもうやり切れません。ものがないのだもの。お母さんが来て世話していられるそうです。お母さんが、あなたのお手紙を見て(玖珂の、よ)大変よろこんでいられましたそうです。お母さん一荷をおろしたとおっしゃっているのは全く御同感ね。多賀ちゃんや冨美子お祝いに来たそうです。きっと冨美子は赤ちゃん珍しくて可愛いと思ったでしょうね。あのは子供に大人望があるのよ。
 あしたは五月五日で、そろそろ送ったお祝がつくでしょうから二階の床の間に、初端午の兜の飾物が燦《かがや》くわけでしょう。かけものなんかでなくて賑やかで子供らしくてよかったわ。
 この頃は余り鯉のぼりはありませんが、それでもたまには若葉の間にひるがえっているし、そちらへゆく途中、いつも往来から迄子供たちの万年床の見えているひどいおかみさんのうちがあってそこを通ったら、珍しくも畳から床があげられて、掃かれて、そこに二つ、赤い布をしいてガラス箱入りの人形が飾ってありました。
 太郎の鯉のぼりは風にへんぽんと舞っていることで
前へ 次へ
全471ページ中183ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング